中埜総合印刷
GTBの各種検査ソフト・システム採用
(印刷ジャーナル2019年7月5日号より)
印刷品質にとくに厳しいと言われる食品業界や医薬品業界。中埜総合印刷㈱(本社/愛知県半田市東天王町1―8、中埜宏泰社長)は、そのような業界を主要取引先に長年にわたり信頼を築いてきた高い品質基準を構築する印刷会社だ。そんな同社では、阿久比工場(愛知県知多郡阿久比町大字卯坂字梅ヶ丘145)において㈱ジーティービーの各種検査ソフト・システムを採用。各工程におけるチェックを確実に抑えていくという一貫した検査フローを構築し、同社の品質基準の確立に重要な役割を果たしている。

同社は総合印刷会社として、食料品のラベルや医薬品の添付文書の印刷を得意とする一方、POPや販促リーレットなどの商業印刷物まで幅広く印刷業務を手掛けている。長年にわたる食品メーカーやブランドオーナーとの取引で培った「品質基準」を強みに取引先を増やし、事業拡大
を続けている。
そんな同社の品質基準を長年にわたり支えてきたのがジーティービーの各種検査システムだ。同社は13年前に印刷検査・検版システム「Hallmarker(ホールマーカー)」を採用。同システムは検査対象を選ばず、印刷物とデジタルデータの検査、単面と面付けの検査など、様々な組み合わせの検査を実現するもので、同社では製版処理後の検査用にA2スキャナとの組み合わせで1セット、ロール機での印刷後の検査にシートスルータイプの大判スキャナと組み合わせて1セットの計2セットを導入している。
さらに8年前には、カメラ入力式印刷物検査システム「CorrectEye(コレクトアイ)」を導入。現在、枚葉機の刷り出し検査には「コレクトアイ」、ロール機の刷り出し検査には「ホールマーカー」と使い分けて活用している。
(写真は左から林工場長、山本課長)
入稿から製版、 刷り出しまで 一貫した検査フロー構築
阿久比工場の林克彦工場長は「製版では校了の原稿と製版データをアウトプットしたものが一致しているかをホールマーカーで検査している。OKデータを生産部に回し、印刷物の刷り出し検 査をホールマーカーもし くはコレクトアイで検査 した上で本刷りを行って いる」と説明する。同社 では、この刷り出し検査 を通過しなければ本刷り を行えない仕組みを作っ ており、これにより確実 なチェック体制を構築し ている。 また、約3年半前には デジタルデータとデジタ ルデータの検査(初校と 再校、修正校など)の検 査用として、デジタル データ比較検査ソフト 「Ken2Pa!(ケン ケンパ!)」を導入した。 同社では以前から他社製 のデジタル検査用のソフ トを使用していたが、同 ソフトが終売となったこ とから、そのリプレイス としてこれまでの実績か らジーティービー社製 「ケンケンパ!」を採用 した。これにより同社は 入稿から製版、印刷まで の各工程における検査フ ローをすべてジーティー ビーの検査システムで一 貫して整えたことにな り、各工程でのチェック を確実にするための検査 の流れを確立させたと言 えそうだ。

(写真左:「CorrectEye」の刷り出し検査を通過後に本刷りを行う 写真右:「ホールマーカー」は各スキャナとの組み合わせで2 セットを導入)
検査作業の負荷がなくなり、「色調管理」への集中が可能に
同社が数多く手掛けている食品の法定表記や薬事表記などは、文字が小さい上に情報量も多いため、人の目による検査作業では、レ点チェックなどを行っても確実性に欠け、「100%大丈夫」と言い切ることは難しい。また、全紙サイズで100丁近く付いている小型容器の食品ラベルなどを人の目でチェックしていると作業に30分以上もかかることがあり、さらに人の作業では疲れとともに集中力も失われるため、「ホールマーカー」の導入前ではどうしても見逃しが発生していた。
しかし、検査システムを活用することで短時間に細かなチェックを行えるだけではなく、当然ながら検査作業の負荷が軽くなる。「これまでチェックにかけていた労力を色調管理などに回せるようになった。非常に良いシステムを提案してくれた」と、生産部 品質管理課の山本邦彦課長は高く評価している。
また、林工場長は各種検査システムを活用していく中、一足飛びではなくても歩留まりが徐々に高まっていることを高く評価しており「今後も異常なものは検出できるという検査システムの特長を借りながら、自社の品質基準を保証していきたい。日常メンテナンスは必要だが、検査システムの状態さえしっかりと管理していれば、設定どおりに検出したいものを意図どおりに検出できる『誤検出が非常に少ない』という性能は高く評価することができる」と、長年にわたりジーティービーの検査システムを活用してきたメリットについて総括した。
近年は商業印刷物の需要が低迷している。そのような中、同社は今後の取り組みとして、さらに食品や外食産業のブランドオーナー、医薬品業界などの資材系印刷物に力を入れていく方針。そのためにも、自社の品質をさらに高めていく努力を続けながら、高い品質基準が求められるこれらの業界のニーズに応えていく考えだ。そして、その実現のために検査システムが果たすべき役割が重大であることは言うまでもなく、ジーティービーのさらなる技術開発に期待していることは間違いない。両社の今後に注目したい。